キミを描きたくて
「す、すご…てか、イケメンじゃない?」
「てっきり会長描くんだと思ってた〜!誰?浮気相手とか?」

「依茉がそんな事するはずないでしょ!ね、依茉」

「う、うん…私の、お友達だよ」


そう言うと、みんなが目を輝かせて関係性や出会ったキッカケを聞いてくる。
別に私の行きつけのカフェに画家が集まってきて、いつしか紹介かつ会員制のアトリエカフェになっただけで…

彼はただの店員で、世間話をするだけ。

絵を描くにあたって協力してもらっただけだ。


「ねえねえ、文化祭、この人呼ぶの?」

「え?…まあ、来るんじゃないかな…」

「会長知ったらどんな顔するんだろ〜!」


みんながキャッキャと喜ぶ。
たしかに、隼人くんの顔は整っている。

隼人くんの落ち着きのある性格に反して、黒マッシュヘアにピアスと、少し遊んだ風貌。
そして、そんなアトリエに差し込む夕日。

よく描けた、そう思う。


「それじゃ、今日の部活は終わり!みんなテスト頑張ってね」


部長がそう締めくくると、みんな荷物をまとめて私の元に来る。
そんな時、コンコンっ、とノックが響いた。



「依茉、いる?」
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