キミを描きたくて

「もうやめようね」

「私ね、美桜ちゃんに無理して欲しくないんだ」

「何、言ってるのよ」

「美桜ちゃん、悩んでるの知ってるよ」


そう言うと黙って抹茶ラテを飲む。
なんとなく、美桜ちゃんの悩みは伝わっていた。


「私が、原因なんだよね?」

「…依茉」

「私、美桜ちゃんと絵があれば、本当にそれでいいの。美桜ちゃんの笑ってるところ、本当に好きだよ」


そう、描きたいほどに。
今困った顔をしているのも、私は絵にしてしまいたい。

そう、どす黒い感情をずっと抱えている。


「…そうよ、私はあんたが消えればいいって思うくらいに憎たらしい」


ポツリ、と話しだす。
でもその口元は笑っていて、なんとなく美桜ちゃんは本当に憎んでなんかないってわかった。


「さっき美術室でみんなに色々言われてたのだって、ざまあって思ったわ」

「うん、それで?」

「勉強も絵も完璧で、コンクールでずっと名前を見続けたあんたに、こんなに近づけるなんてひとつも思わなかった」


笑いながら、涙をうかべる。
ごめんね、悩ませてしまっていたんだね。

私がいるから、私なんて居なければ、彼女はこんなにも悩まなかっただろうし、美術部で私の肩を持つ必要なんかなかった。

仲良くしなければ、彼女は私をずっと敵対したまんまだっただろう。


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