キミを描きたくて
「コーヒーと…今日のおすすめケーキで」

「…え?す、すみません、もう一度」

「コーヒーと、今日のおすすめケーキ」


真っ白な肌に、大きな目。ブロンドの髪に、小さくはっきりとしたシャープな輪郭。凛とした高い声。

天使だ。これが、天使。
誰に否定されようが絶対に揺るがない。

そんな天使に出会った。


「いらっしゃいませ。」

「あ、えっと…」

「コーヒー砂糖ミルク多めにと、今日のおすすめのケーキはかぼちゃケーキ、ですよね」


毎週、多い時には週に4回は来ていた。
僕よりもっともっと小さくて、気弱そうな子。

コーヒーとケーキを嗜みながら、彼女はいつもスケッチブックに絵を描く。
そんな彼女に、僕は魅了されていた。

…そして来る時は決まって平日で、私立中学の制服。
お嬢様なのは、ひと目でわかった。


「うーん…?」


そう小さく唸る彼女。僕はすぐに声をかけた。


「お困りですか」

「いや、あの、えっと…コンクールの作品が、決まらなくて…」


一向に合わない視線。
彼女はずっと消しゴムで消しては、色んな絵を描く。

でも決まってそれは、僕には理解できない抽象画だった。
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