愛は愛より愛し
炎を愛す

食卓テーブルに乗せた紙袋。
部屋着に着替えて、それを観察した。

取り扱い注意って言ってた。静かにテープを外して、中の箱を取り出す。

とん、とテーブルにおかず皿を置いた霙がこちらを怪訝な顔で見てくる。

「何それ?」
「分からないから慎重に開けてる」
「怖い、爆弾?」
「同じ発想やめて」

流石姉妹だと思いたいところだけれど、私にそんな余裕はない。

あの後、世名はうちのマンションまでちゃっかり着いてきて、それから別れた。

思えば、同じ最寄りだったんだと気付いたけれど、それよりも29歳になった事実に混乱すら抱いていて、尋ねられなかった。

< 81 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop