愛は愛より愛し
私より四歳程年上の世名に対して頭を抱える。
「吸いますけど……使ってません」
『折角あげたんだから使ってよ。使い方わかる?』
「分かりますけど……」
『じゃあ今日吸って、明日感想聞かせて』
にこにこと笑う顔が目に浮かぶ。
この時点でもう、世名にライターを返すという選択肢が消えているのが恐ろしい。
返事をする前に、声が通る。
『それとも煙草10カートンプレゼントした方が良かったですか?』
ふとこの前の、恭子との会話を思い出した。
恭子のバイト先の店長がくれた煙草は、未だに大事に少しずつ減っていっている。