愛は愛より愛し
まるで、それを知ってるみたいな。
いや、まさか。
「要らないです」
ハッキリと断れば、ケラケラと笑う声。
それがいつも通りで、どこか安堵する自分がいる。
『だよね。僕も閑野さんの肺を黒くする手伝いをしたいわけじゃないから』
「ライターをあげておきながら?」
『君が一番喜ぶものをあげたくて』
喜ぶと……思ったのか。
というか、これをあげて喜ぶ女とばかり付き合ってきたのか。
額に当てた手を取る。紙袋がガサガサと鳴り、私は息を吐いた。
「……とりあえず、一時保管しておきます」
電話口で、息を吸う音が聞こえた、気がした。