【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「至急国王陛下に伝言を。聖女モーリーンが会いたいと言っていると伝えて」

 聖女様。
 優しくて穏やかな聖女様。

 聖女様はこんなに感情を表に出す方だったでしょうか。
 聖女の衣装に注文を付け、苛立って国王陛下を呼びつけるような方だったでしょうか……。

 そっくりだけれど、全然違う。
 まるで聖女様がふたりいるようでした。





 神官達の祈りがようやく届いたのか、聖なる水晶に神力が満ちたとの知らせが来ました。前回の聖女継承の儀からふた月が経っていました。
 改めて儀式が行われることとなり、清楚な白い衣装を身に着け、王宮に向かう聖女様を大神殿からお見送りします。

「聖女様、行ってらっしゃいませ」

 一列に並んだわたくし達神官に聖女様は白い衣装の裾を持ちあげて見せます。頬をふくらませて不満そうなお顔でした。

「結局ドレスは地味なままだったわね。せっかくの晴れ舞台なのに、残念」
「お綺麗でいらっしゃいます。……国王陛下からいただいた宝飾品がお似合いでございます」
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