【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 聖女の初夜権は王のもの。
 聖女は他の誰にも、愛する人がいても、国王以外に初めてを差し出すことはできない……。

 妹はそれをいやがって、双子の姉のわたしが身代わりとなり、王都へ行くことになった。
 でも、聖女はあくまでも妹。
 わたしは偽物にすぎないのだ。

「こんなことが公になってしまったらと思うと、わたし……。ううん、それだけじゃない」
「…………」
「罪が暴かれなかったとしても、女神の加護を得られなかった国王陛下や国民は、どうなってしまうのかしら」
「クゥン……」

 気落ちして沈みこむわたしに、そっとヴォルフが寄り添ってきた。

 温かい……。

 ずっと強ばっていた心に少し、穏やかなそよ風が吹いた心地がした。

「ふふ、少し気が楽になったわ。話を聞いてくれてありがとう、ヴォルフ」

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