それはきっと、甘い罠。
クラスどころか学校の人気者相手に、これ以上なにを話していいのか分からず内心慌てる私はきっと顔にでてる。
申し訳ないけど鞍馬君から視線を外して俯くと。
なぜか額に暖かい体温が流れてくる。
きょとんとした表情で顔を上にあげると、鞍馬君の大きな手が私の額に触れていた。
「うーん?熱はなさそう」
「……っ、鞍馬君あの、手……」
「ん?……あー、なんかさっきから藍野ちゃん顔ばっか隠すし、それに顔赤いし。熱でもあんのかなーって。」
「熱なんてないよ?だから手……退けてくれると有難い、かな?」
鞍馬君が私に触れている。
その事実だけで、心臓がドキドキってうるさい。