Ephemeral Trap -冷徹総長と秘めやかな夜-
雑貨屋さんへと移動し、ずらりと並べられたアクセサリーをひと通りチェックして、
「うわ。あいつら、これとか好きそう」
軽く笑う甲斐田くんに、こっちまで笑顔になってしまった。
「仲良いんだね」
「あー。まあ悪くはないかな。血繋がってないけど」
「えっ」
自分から発せられた声は思ったより大きくて、わたしはパッと口を塞いだ。
「そんな驚く? 別に珍しくねーだろ、今どき」
「そ、そうだよね……っごめん」
過剰なリアクションを見せてしまったことが申し訳なくて、縮こまる。
わたしたちの他にお客さんがいないのが救いだった。
「おれの親、再婚してんの。……けどあんま、平石さんの周りにはいなかったか、複雑な家庭ジジョーを持ったやつ」
ごめんごめん──なんて、謝られてしまって。
「そんなこと……。びっくりはしたけど、えっと、そうじゃなくて」
自分がひどくデリカシーのない人間に思えて、恥ずかしくて、消えてしまいたくなる。
だから、
「わたしも、同じだから……」
どうにか弁明したくて、そんな余計なことを言ってしまったんだ。