【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
年下の男


「アーリアは最近、隙が多くなったよね……」

 王立高等学園で一日執務をしてすごし、講義を終えたセドリックと一緒に王宮に戻って数時間。夕食も入浴もすませ、やっと二人きりで寛ぐひととき。

 わたしたちは居室のソファーで香りの良いお茶を飲みながら、今日の出来事を話していた。

「隙、ですか……? 申し訳ございません。わたくし、王子妃として、何かふさわしくないふるまいをしてしまったかしら。……あ、エドワード様の?」

 理事長室で、エドワードの言葉に動揺してしまったことかな。口紅が取れているって指摘されて……。

 確かに最近、貴族令嬢として磨いてきた鉄の仮面がゆるんでいる気はする。反省。

 セドリックは少しムッとして、わたしを見た。

「二人でいる時に、ほかの男の名前は聞きたくないな」

「ごめんなさい。そうね……、わたくしもセドリックの口から、ほかの女の子の名前を聞きたくはないわね」

「えっ……それ、ほんと?」

 大きな目を見開いて驚くセドリック。わたしが嫉妬するの、そんなに意外かしら?
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