その海は、どこまでも碧かった。
「オレ、ちょっと寄りたいところある」
宙がそう言って
ふたりで席を立った
碧くんに後ろ髪引かれながら
カフェを出た
「水瀬、気になる?」
「ん?なにが?」
「あおくん」
「あー…ちょっとね…
碧くんがどんな人と付き合ってるのか
気になった
碧くん彼女いたことないって言ってたし…」
「じゃあ、挨拶してこよーよ!」
「え!いいよ!そんな…」
気になるくせに
挨拶なんて勇気なかった
「じゃあ、ガラス越しから…」
「え、恥ずかしいよ」
宙とそんなやり取りをしてたら
中から碧くんが手を振った
あ、見つかった
「ほら、手振ってるよ」
「うん…」
カフェの外からガラス越しに
碧くんに近寄った
ガラスの向こうで
碧くんが宙を見て
宙が会釈した
碧くんの隣にいた女の人は
碧くんの隣で微笑んでた
綺麗な人
碧くんに似合ってる
あの甘い匂いがするのかな?
どんな声で笑うんだろう?
きっとかわいんだろうな
ガラスに手をあてた
碧くんには届かない
碧くんが手を振ったから
私もガラスにあてた手を振った
「宙、行こう」
「うん…」
宙が手を繋いでくれた
碧くんもあの人と手を繋ぐのかな?