その海は、どこまでも碧かった。

「あおくんて、何歳だっけ?」



「ん?碧くん?」



「この前、誕生日きて20歳になったんだっけ?」



「宙よく知ってるね」



「だって水瀬が言ってたから…
オレ、結構あおくんのこと知ってるかも

彼女がいなかったのは初耳だけど…
しかも彼女いなそうに見えないし

優しいお兄さんで
オシャレじゃないメガネかけてるイメージ

ぜんぜんイメージと違った
男のオレが見ても惚れそうだった」



「そーなの?
碧くん、好きな人がいるって言ってたけど
もしかして、男なのかな?

メガネはね
たまにかけてるけど度が入ってないんだって」



「また、あおくんの情報増えたし…

さっきいた人と付き合ってるんじゃないの?
仲良さそうだったよ」



「でも、碧くんそんなこと言ってなかったし
手も繋いでなかったよ!」



「店内で繋いでる人あんまりいないよね」



「あ…そっか…」



なんとなく

碧くんとあの人を

彼氏彼女で結びつけたくなかった


碧くんが男の人好きな方がまだいい



「オレたち高校生からしたら
男女がふたりで一緒にいたら
付き合ってるんだろうな…って
思っちゃうけどさ
あおくんは大人だから
もしかしたら
ただ一緒にコーヒー飲んでただけかもね…」



「うん…」





フォローしてくれてる?



「そっちの方が納得できた?」



「え?」



「付き合ってるって言ったら
水瀬、腑に落ちない顔してたけど
コーヒー飲んでただけって言ったら
ちょっと安心した顔してた」



「そぉかな…?」



「うん、してた…
あおくんに、彼女がいないといいね」



「ん?」



「嫌なんでしょ
あおくんとあの人が付き合ってたら…」



「そんなこと…」



ないよって言えなかった



宙に

気持ち悟られた



「あおくんは、どぉ思ったかな?
オレのこと…」



「宙のこと?」



「彼氏できたって
あおくんに言った?」



「うん、言ったよ」



「なんでも話してるんだね」



「うん
碧くん、よかったね!って言ってたよ」



「それがオレでよかったかな?
さっきオレのこと見て
どぉ思ったかな?」



「今度、聞いとくね」



「聞かなくていいよ
なんか、あおくん見たら自信なくした」



「ん?」



「海は?
海は、オレでよかったの?」



「うん、ありがとう
初めて告白されて戸惑ったけど嬉しかったよ」



「ホント?
それなら、よかった」



そう言った宙の声は優しかったけど

強く引き寄せられて宙が近くなった



ビックリして

宙を突き放してしまった



「ごめん…水瀬…

嫌だった?」



「ごめん、なんか、ビックリして…」



碧くんに引き寄せられた時は大丈夫なのに…



「オレ、さっきの間接キスでさえ
スゲードキドキしたのにさ…
ごめんね、急に…」



「んーん…」





今、キスしようとしたのかな?



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