その海は、どこまでも碧かった。
「海の彼氏、イケメンじゃん」
あ、碧くん
話題変えた
「碧くんのことも
男から見てもカッコいいって言ってたよ」
碧くんのキーボードの上にあった指が
一瞬止まった
「ヤバイな
オレ、そーゆー趣味ないから…」
「ないの?」
「ないわ!」
「なんだ…
もしかして碧くんて…って
ちょっと思ったんだ」
「今のところ
そんな魅力的な男性に出会ってない」
「やっぱり、碧くん女の子好きなんだ」
「今のところね
…
ねー、海…」
「ん?」
「キスした?」
パソコンの画面を見たまま
碧くんが言った
「え?なんで?
碧くん見てた?」
「へー…したんだ
わかりやすいな、オマエ」
「違う…してないよ…」
拒否された
「まぁ、いいけどね…
別に隠さなくたっていいじゃん
付き合ってたら普通のことだし…」
隠してない
普通のことなのに
できなかった
「ねぇ碧くん
男の人って
どんな時、キスしたくなるの?」
「知らねーよ、オレに聞くな!
彼氏に聞けよ」
碧くん
怒った?
今日ずっとパソコン見てるし…
「だよね…
ごめんね、忙しい時に来て…」
「ごめん…
オレ、付き合ったこと、ないから…」
いつもの優しい碧くんの声に戻った
そーだよね
なんで碧くんに聞いたんだろう
「じゃあ、またね…碧くん」
碧くんの背中に
バイバイした