ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
医局に戻るために廊下を歩く。廊下のスピーカーからも、ピアノの美しくも切ない旋律が流れる。
ーーこれは……
私は足を止めて、廊下の窓から夕暮れの空を見上げた。
これは、ショパンのエチュード。
まこと先生が好きだったという『別れの曲』だ。
まこと先生。
前を向いていたら、たくさんの出会いがありました。理想の病院を作るという、みんなで叶えた夢もまだまだ発展途中です。もっと頑張ります。
先生、見ていてくれていますよね?
あぁ、先生。もう一度お会いしたい……
「真菜さん」
不意に声をかけられた。
廊下の向こうに白衣姿が見える。長身で、背筋がスッと伸びていた。髪はうんと短く整えられている。
あの後ろ姿は。
ずっと、ずっと追いかけていた、憧れの姿。
「…まこと先生?」
まさかと、思いながらも声をかけずにいられない。
先生が振り返る。顔に浮かんでいるはずの満面の笑みは、後ろから射す強烈な夕陽のせいで翳って見えない。
「…っ!」
不意に、めまいがした。足元がぐらり、と揺れて立っていられないほどのめまい。
ーーこれは……
私は足を止めて、廊下の窓から夕暮れの空を見上げた。
これは、ショパンのエチュード。
まこと先生が好きだったという『別れの曲』だ。
まこと先生。
前を向いていたら、たくさんの出会いがありました。理想の病院を作るという、みんなで叶えた夢もまだまだ発展途中です。もっと頑張ります。
先生、見ていてくれていますよね?
あぁ、先生。もう一度お会いしたい……
「真菜さん」
不意に声をかけられた。
廊下の向こうに白衣姿が見える。長身で、背筋がスッと伸びていた。髪はうんと短く整えられている。
あの後ろ姿は。
ずっと、ずっと追いかけていた、憧れの姿。
「…まこと先生?」
まさかと、思いながらも声をかけずにいられない。
先生が振り返る。顔に浮かんでいるはずの満面の笑みは、後ろから射す強烈な夕陽のせいで翳って見えない。
「…っ!」
不意に、めまいがした。足元がぐらり、と揺れて立っていられないほどのめまい。