ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
ハッと我に返る。

あれ、私どうしたんだろう。

「気が付いた?丹下先生倒れたのよ。大丈夫?」

琴羽さんが、私が横になっていたベッドの隣のテーブルでパソコンを使って何か作業をしていた。
仕事あるのに付き添ってくださったんだ。申し訳ない。

「もう、大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」

「ほんのちょっとの時間だったわ。過労と貧血みたいだけど、念のため検査するって採血したから」

過労と貧血か。自分ではそんなに疲れているつもりなかったんだけどなぁ。睡眠も栄養もしっかりとってるし。

「一応、孝弘くんにも連絡しておきました。ちょうどこれから花音を病院に連れてくるから、そのままここに来ると思う。今日はもう帰って休んでください」

「花音さん、今日あたり性別が分かるかもしれませんね」

「そうね。まぁ、性別はどっちでもいいんだけど。それより未来の『一条』の後継者があの大河の血をひいていることのほうが心配。陽翔と晃翔も苦労しそう」

30歳を一つの区切りとして花音さんと大河さんは結婚した。大河さんは芸能界を引退して花音さんのボディーガードに専念している。

「それにしても大河のヤツ、あっさりと引退したわね。もっと苦労するかと思ったけど」
「男らしさに磨きがかかって、これからも人気は衰えないと思っていた矢先でしたからね。潔いっていうか、大河さんらしいっていうか」


そんな会話をしていたら。
ドアがノックされる音がした。
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