お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
冴木の部屋の前に来ると、彼が出迎えてくれた。
「いらっしゃい、翠」
「今日はありがとう。 お邪魔するね。 えっと、こちらが、航太郎さん。同居人の……」
本人の前でこういう紹介をするのはどうにも居た堪れないが、まさか偽装結婚してるなんて言える訳もなく、こうなってしまう。
冴木は鈍感そうだし、嘘がバレるなんてことはそうそうないと思う。
「ああ、同居人の、ね」
冴木は復唱し、含みのある笑みを航太郎さんに向けた。
そして航太郎さんは……なんか、殺気立ってるような…?
何このふたり、知り合いなの?
私の不安と疑問は、冴木の言葉で解決したのだった。
「ただの同居人だってよ、兄さん」
〝ただの〟を強調して言う冴木。
「俊也…お前か、俺の嫁を誑かしてたのは」
すかさず反応した航太郎さんたちの会話に、私は一人ついていけずにあたふたする。
だって、今、冴木が航太郎さんのこと兄さんって……。
「いや、嫁じゃないでしょ。 同居人て言われちゃってるじゃんか」
航太郎さんは冴木のからっとした笑いを無視して私に向き直る。
「翠。 こいつ、俺の弟だよ」
「黙っててごめん、翠。 俺は翠の相手が兄さんってことも知ってたんだ。ふたりの微妙な関係とかも諸々。 今日ふたりが知ったら面白そうだなーと思ってさ」
なるほど……うん。確かに、ふたりの笑った顔が似てるなあとは思ってた。
けどまさか兄弟だったなんて!
苗字が違うし気づかなかった。
「気安く翠のこと呼ばないでくれる? 俺のなんだけど」
「いや、私は航太郎さんのものではないので大丈夫。 にしても冴木、あんた性格悪いのね。 何が面白そうだなー、よ。びっくりするじゃん」
「いらっしゃい、翠」
「今日はありがとう。 お邪魔するね。 えっと、こちらが、航太郎さん。同居人の……」
本人の前でこういう紹介をするのはどうにも居た堪れないが、まさか偽装結婚してるなんて言える訳もなく、こうなってしまう。
冴木は鈍感そうだし、嘘がバレるなんてことはそうそうないと思う。
「ああ、同居人の、ね」
冴木は復唱し、含みのある笑みを航太郎さんに向けた。
そして航太郎さんは……なんか、殺気立ってるような…?
何このふたり、知り合いなの?
私の不安と疑問は、冴木の言葉で解決したのだった。
「ただの同居人だってよ、兄さん」
〝ただの〟を強調して言う冴木。
「俊也…お前か、俺の嫁を誑かしてたのは」
すかさず反応した航太郎さんたちの会話に、私は一人ついていけずにあたふたする。
だって、今、冴木が航太郎さんのこと兄さんって……。
「いや、嫁じゃないでしょ。 同居人て言われちゃってるじゃんか」
航太郎さんは冴木のからっとした笑いを無視して私に向き直る。
「翠。 こいつ、俺の弟だよ」
「黙っててごめん、翠。 俺は翠の相手が兄さんってことも知ってたんだ。ふたりの微妙な関係とかも諸々。 今日ふたりが知ったら面白そうだなーと思ってさ」
なるほど……うん。確かに、ふたりの笑った顔が似てるなあとは思ってた。
けどまさか兄弟だったなんて!
苗字が違うし気づかなかった。
「気安く翠のこと呼ばないでくれる? 俺のなんだけど」
「いや、私は航太郎さんのものではないので大丈夫。 にしても冴木、あんた性格悪いのね。 何が面白そうだなー、よ。びっくりするじゃん」