お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~



「とろくーん、もうすぐお客さんが来るから、お家入ってようか」

猫じゃらしで遊ぶのを中断して、小さな体を抱き上げる。
今日はこれから航太郎さんのお父様とお母様がいらっしゃるのだ。
約束の時間が迫ってきたので、おふたりとも猫好きとは聞いているが、念の為ケージの中に入っていてもらうことにした。

掃除をいつもより念入りにし、ご馳走するお昼ご飯にも精を出した。
社長令嬢という名ばかりの私とは違い、大企業の社長ご夫妻だからとメニューに悩んだけれど、航太郎さんの、『そうはいっても中身は普通のじいさんとばあさんだから、煮物でも出しとけば喜ぶと思うよ』との助言もあり、和食と、お父様の好物だというローストビーフを作った。
航太郎さんは昨日の試食で美味しいと言ってくれたけれど、彼はなんでもかんでも美味しいとしか言わないので正直不安だ。
とにかく、粗相のないようにしよう。

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