お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~

「っ!空気みたいに柔らかい…。めちゃくちゃ美味しいよ。翠、天才なんじゃ…」

「そういう食べ物なだけですから。喜んでもらえてよかった」

「俺の帰りが遅くて暇だった?ごめんね。 デザートを作ってくれたり、俺の部屋…寝室も掃除してくれたでしょ。下に落ちてたはずのクッションが椅子の上に乗ってた」

掃除したかしてないかの判断基準そこなんだ。

「すみません、勝手に入ってしまって」

無我夢中で掃除していたら、いつの間にか、いつもは彼がいる時に断ってから入って掃除をする航太郎さんの部屋…今では私たちが寝る寝室まで掃除機をかけていた。

「もう俺だけの部屋じゃなくて、寝室だしね。毎回断らなくて大丈夫だよ。 ていうか、掃除は毎日しなくていいって言ってるのに…」

シフォンケーキを咀嚼して飲み込んでから航太郎さんが言う。

「気にならないですか?見えない埃が舞ってそう……とか」

探るように言う自分に呆れる。
松下さんの影響受けすぎ!

「見えない埃?そんなの、掃除してもしなくても舞ってると思うよ。そもそも見えないんだから、人間にはどうしようもなくない?」

当然のように言ってのける航太郎さんに、思わず安堵のため息をついていた。
やっぱり、航太郎さんってこういう人だよね。
完璧主義者とかありえない。
たしかに、冴木も言っていたけど、今の彼と前の彼は違うらしいし、会社での姿はそう見えるのかもしれないけれど、もしも根っからの完璧主義者だとしたら、家では適当とかないと思う。
無理して私に合わせようとしているようにも見えないし、心配しなくても大丈夫だよ。
目の前で嬉しそうにケーキをつつく彼が幸せそう。それを見ているこっちも楽しい。
それでいいじゃない。

にこにこの航太郎さんにつられて、紅茶を片手にまったりとした良き時間を過ごした。

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