青、こっち向いて。


ちょっと雰囲気はコワイけど、あんなにかっこいいんだもん、彼女の一人や二人いてもおかしくないのに、どうして彼女がいるって考えなかったんだろう…!


ちらっと城田くんの席を盗み見ると、今日は雨だからか体育館裏に行くことはなく、そこに座って机に突っ伏していた。


寝てる、のかな。


いや、仮に起きていたとしても「城田くんって彼女いるの?」なんて、クラスメートの前で聞くほど私の肝は据わっていない。


でも、一度気にしたらもう頭から離れなくなっていて


「あっちゃん、見すぎね」

「うっ、だって、考えたことなかった。彼女いるかもなんて」

「確かに、あんなけ無愛想だと想像つかないわ」


周りに聞こえないくらいの声量でコソコソ話しながらお弁当を消費していく


「あっちゃんて、すーっごい頭いいのに結構抜けてるよね。そこが可愛いけど」


頭がいいかはわからないけど、…抜けてるって、城田くんにも言われた。


もし、城田くんに彼女がいたら、その子にはどんなふうに接するんだろう。

どんなふうに笑って、どんな声で名前を呼ぶんだろう。


表情にあまり変化がない城田くんでも、彼女の前ではたくさん色んな表情を見せたりするのかな


午後の授業はすっかり身が入らず、先生に指されてもすぐ答えられずにちょっと恥ずかしい思いをした。


クラスの子たちも、たまちゃんにも「めずらしいね」って言われたけれど、上の空の私は曖昧に返事をした。


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