Chat Noir -黒猫と私- バイオハザー度Max- Deux(2nd)
「じゃぁ、ケーキはご家族のみなさんで食べて?
お世話になったお礼ってことで」
軽く手を挙げて立ち去ろうとすると、
トラネコくんが心配そうに私の手を引いた。
「アサちゃん……本当にいいの?倭人に聞かなくて」
聞きたい―――……
けど
聞けない。
私はトラネコくんの言葉に首を横に振った。
「まだ心の準備ができてないの。もう少し気持ちの整理をしてからちゃんと聞くから…」
そっとトラネコくんの手を払うと、トラネコくんもそれ以上は強く勧めず
「じゃぁ…そのときになって何か困ったことがあったら相談して?
俺、あいつとは幼馴染だし、たいてい考えてることは分かるつもりだから…」
そう申し出てくれた。
「ありがと。キミもがんばってね」
私は強引に笑って、その場を立ち去った。
――――
―
ホント……臆病な自分がどうしようもなくイヤになるよ。
たった一言
ロシアン葵ちゃんと会った―――?
そう聞けばいいだけなのに。
『ど…どうしよう、この先に何があるのか確かめるべき?』
暗くした部屋の中、テレビに映し出された再放送のホラー映画だけが流れていた。
主人公のジェニファーは殺人鬼が潜む古い洋館に迷い込んで、迷路のような屋敷内から脱出するって物語り。
ジェニファーは果たして生きて屋敷を出られるのか…というようなありきたりなストーリーだったけど、結構面白い。
私はビールを飲みながら
「私だったら確かめるな」と一人言。
扉の向こうに何かがあるって思ったら、好奇心の方が勝って素通りできないタチ。
ビールの缶から口を離して
はぁ……
でも、倭人のお部屋の向こうを想像したら、やっぱり素通りだな。
『キャァァァアアアア!』
ジェニファーの悲鳴が轟き、中から包帯ぐるぐるのミイラが出迎えた。
「ミイラぐらい何よ。お化けじゃあるまいし。
私はライバル(?)と遭遇しちゃったんだからね。
あんたはまだましよ」
変な独り言をもらす。