愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~

 料理は豪華とはいかないけれど、山の幸がふんだんに使われていてどれもおいしい。信州の郷土料理、朴葉焼き。川魚のお造り。地元ならではのキノコや山菜の料理。どの料理を見ても胸が躍る。

「そういえば、この宿では翻訳機を使っていましたね」

 宿のカウンターで翻訳機を使いながら外国人と話をしている受付係の女性がいた。

「うん。あれはうちの製品だった」

「あらそうなんですか。それは良かった」

 昼食時、私たちの隣の席に日本語がわからないイギリス人客が来て、英語がわからない店員さんが困っていた。
 気をきかせた綾星さんが間に入って通訳をしたけれど、帰りがけに小型翻訳機をお店にプレゼントした。

 綾星さんが参考のために購入してみた廉価な他社製品で、もう必要ないものだったらしい。旅行中に機会があれば誰かにあげようと持ってきていたという。

 店主はとっても喜んでくれて食事はサービスしてくれると言ったけれど綾星さんは上手に断り、お土産にとくれた五平餅だけを受け取った。

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