愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「誰にも渡さない」

 え? ちょ、ちょっと、そんなキャラでした?

「あ、あの」

「うれしいよ、星光」

「んっ」
 抗議の言葉は彼の口の中に飲み込まれていく。

 手首を掴まれて、あっという間に浴衣を剥がされて、あとはもうされるがまま――。

 多分、本気で抵抗すれば止めてくれたと思う。でもそれができないのは、彼が合間あいまに「かわいいな、星光」と囁くからだ。

 呪文のように体から力が抜ける。
 心が痺れたようになり、もっと言ってと求めてしまう。

「あっ……」
 思わず漏れた声にハッとして口を塞げば、その手を掴まれた。
「我慢しないで」

「今夜、だけ、ですよ?」
 本当に、一度きりなんだから。
 息も絶え絶えに繰り返したのは、自分への言い訳なのか。

「星光、愛してるよ。俺の星光……」

 あぁ……。
 触られた箇所が、ひとつずつ、まるでスイッチのように火がついていく。

 優しすぎる指先が、もどかしさを呼んで私を狂わせる。

 あなたはズルい。
 真面目なくせに、そんなに上手だなんて、どうして?

 そんなことを考えられるうちはまだ余裕があった。
 気がつけば夢中でしがみつき、強引なまでの彼の愛情と欲情を、恥ずかしいほど喘ぎながら必死で受け止めていた。

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