愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 入ってきたのは第一秘書の如月透。
 透は期待に満ちた目をしてピンク色の包みに目を落とした。

「食べないのか?」
「いいぞ、食べて。サンドイッチだそうだ」

 五月には言うなよと念を押すと、透はうれしそうに「はいはい」と頷いて、早速サンドイッチの包みに手を伸ばす。

「寝坊しちゃって飯食う時間なくてさあ。ん? なんかあった? 憂鬱そうだな」

 透とは古い付き合いだ。秘書である前に、学生時代からの親友でもある彼には隠し事はない。
 なので、ちょっと相談してみようかと口を開いた。

「星光が……」

 だが、いざとなると言い出せない。
 もしかしたら、星光は帰ってくるんじゃないかと根拠のない答えが脳裏をかすめる。

「ん? 奥さんがどうかしたか?」

 言いよどむ俺に「もしかして子供でもできたか?」と、透は暢気に笑う。

 親友とはいえ俺たちがセックスレスだとは打ち明けてはいない。

 そもそも懐妊話なら、なんで憂鬱そうなんだよと突っ込みたいが、透は俺が星光に心を開いていと知っている。

 離婚届を置いて出て行ったと聞けば、透はなんて言うだろう。
 やっぱりな、とでも言うだろうか。
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