愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 兄が話してくれた。

 美々子や青扇学園から転校していった子たちが、私の悪い噂を綾星さんに言い続けていたらしい。
 綾星さんはその噂に影響されていたのだ。

 悪い噂については気づいていた。私にもそれを教えてくれる友達はいたから。でも、私自身をちゃんと見てさえくれれば。

 そうでしょう?

「綾星は、潰れかけた五條を立て直すのに必死だったからな。見ていて痛々しいほど。だから今まで待ってやったんだろう? お前も」

 私はうなずいた。
 その通りだったから。

 お見合いの席でひと目で好きになって、振り向いてもらえないって気づいて。
 それでも、彼の力になれればそれでもいいかと思った。

「だけど綾星さんは、離婚が嫌なだけなんじゃないかな。私に未練があるわけじゃないと思うの」

「信じてやってもいいんじゃないのか?」

「えっ?」

「言っただろ。あいつは不器用だけど信用できるぞ。それに意外としぶとい」

 思わず「あはは」と笑う。

『星光、俺はあきらめないぞ』と、言い続けた綾星さんが脳裏に浮かぶ。

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