愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 五條家が抱える闇だと彼は言った。

「自分たちは何をしても許される特権階級だと信じ込んでいた。特に宗家である伯父は時代の流れに取り残された。全てを失うまで気づかなかったんだ」

「美々子は……大丈夫なの?」

「心配ない。伯父の話ではわれに返ったように、ごめんなさいと言って泣いているそうだ。自分で犯した罪を理解しているから、二度とあんな行動はとらないだろう」

 落ち着いたら日本を離れハワイの別荘に生活の拠点を移すという。

「ハワイ?」

「ああ、日本を離れれば気分も落ち着くだろうからね。ちゃんと病院にも通っているから立ち直れると思う」

 そうか。それならもう大丈夫だね。
 そこまで聞いてようやくホッとできた。
 美々子が完全に病んでしまったなら後味が悪いから。


「というわけで、星光」
「はい?」

「君に内緒でボディーガードを付けて済まなかった」

 ああ、そのことね。

「いえいえ、心配してくださってありがとうございます。おかげで助かりました」

 言いながら密かに思う。
 美々子が脅すつもりでいたなら、襲われても美々子ごときにやられる私じゃない。撃退できたはず。

 でも、あの時は本当に怖かった。
 私は自分で思うほど強い人間じゃないのかもしれない。
< 206 / 211 >

この作品をシェア

pagetop