愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 恋に不器用な私は、何をどうしていいかわからなかった。気持ちの伝え方も下手だから、私がどう思っているかなんて綾星さんはわからなくて当然で。

 こんなはずじゃなかったけれど、離婚届を渡したあの日から素直になれた。




 それから二カ月後――。


 病院を振り返って『おめでとうございます』という声を思い浮かべた。

 嘘みたいという驚きと共に涙が溢れてくる。

 離婚するつもりでいたのに家族が増えるなんてね。
 夢だって、これほど幸せにはなれないだろう。


 タクシーの中から空を見上げ、込み上げるうれしさにそっと涙を拭う。

 綾星さんにはいつ伝えようか。
 今じゃ仕事の邪魔をしてしまうし、早く伝えたいし。

 ひとまず気持ちを落ち着かせながマンションに帰り、母に連絡をして色々相談に乗ってもらって、綾星さんには今夜伝えることにした。

 食事の準備が終わり、なんだか眠くなってしまい、少しのつもりがしっかり寝てしまっていたらしい。

 目が覚めた時には帰ってきた綾星さんが私の額に手を当てている。

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