一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
ここに彼がいるはずもないのにその名前しか頭になかった。
息ができなくて視界が霞む。
もうダメかと思ったその時、怜の声がした。
「やめろ!」
その声の後すぐにバシャッという水音がして、急に楽になったと思ったら松本が池に落ちていた。
私の目の前には怜がいて、ビックリして何度も目を瞬いた。
これは幻だろうか?
それか夢でも見てる?
「れ……怜?」
身体の力が抜けて崩折れそうになる私を彼が支え、そのまま抱き締められる。
「大丈夫か、雪乃?」
彼の身体の温もりが伝わってくる。
ああ……これは夢じゃない。現実だ。
彼の胸に頬を寄せて頷いた。
「うん」

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