君は残酷な幸福を乞う
琉軌は、李々子と恋人を殺したことを若葉に伝えた。
そして琉軌は自分がしてきた犯罪も告白した。

「え……李々子さんを…?」
「許せなかったんだ…!若葉の気持ちを踏みにじって、挙げ句裏切った。
そんなこと、俺が許せるわけがない。
今までは他人に手を汚させてたけど、今回だけは俺のこの手で殺った。
若葉は俺の一番大切な宝物だから」
「琉軌が…李々子さんを……」
「俺のこと…軽蔑する?」
「………」
「もう俺は……若葉に触れちゃダメかな?」

若葉は琉軌の仕事を詳しく知らない。
もちろん表の仕事ではなく裏の仕事だとはわかっているが、犯罪を犯しているとは思っていなかったのだ。
ヤクザ等を束ねるボスのような存在とばかり思っていた。

「琉軌」
「ん?」
「一緒に…警察に行こ。
大丈夫。私も一緒に償うから!」
「いいよ」

団に警察署まで送ってもらう二人。
しかし、全く取り合ってくれない。
「ですから、人を……」
「悪いけど、忙しいんだよ!?
帰ってくれない?」

「どうして…?」
「無理だよ、若葉」
団が声をかける。
「え?どうして?」
「琉軌は王様だよ。
この世界に、琉軌を裁ける人は一人もいないんだよ」
「嘘……」

「ごめんね、若葉」
琉軌が若葉の頭を撫でる。
「琉軌…」
「若葉を更に地獄に落とすことになったね。
それでも、手放せない。
だから別れるなんて言わないでね?」

「大丈夫。覚悟はできてる。
……………いや、私…わかってなかった。
もっと安易に考えてた。
琉軌の世界のこと何も……」
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