ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


パキッとペットボトルの蓋を開けてくれて、背中に手を回して、飲ませてくれる。


「だ、大丈夫だよ、渚。
私、自分で飲めるし……」


「俺がしたいからいいんだよ。
結局今朝も甘やかすとか言っといてできなかったし。今むちゃくちゃ甘やかしたい気分なの」


「そっ、そっか……」


私、今から渚にいっぱい甘やかされるのか……なんて、これからのことが予想できて、じわじわ体が熱くなる。


「っ……」

「顔あっつい……期待、してる?」


「っ、ううっ……」


ベッドに並んで座って、ふっと笑った声が落ちてきて。

頬にかかった横の髪を耳にかけられて、手の甲で顔の輪郭をなぞられる。


「ここも、あっつ……うまそう」

「ふっ、え……」


きゅっと指を絡められて、首筋にキスが落ちてくる。


「心臓の音すげ……緊張してる?」

「して、ない……」


この心臓の高鳴りは。


「期待、してる……」

「っ、かわいい……こっち、見て」


甘く細められた瞳が、愛おしいって言わんばかりにのぞきこんでくる。


まだはじまったばかり。

でも少しの刺激だけで、震えてしまうのは、体質じゃなくて、きっと渚がふれてくれてる、喜び。


「どっちが、いい?」

「ふっ、あ……」


「俺の膝の上で座ったままか、ベッドに横になるか。もしくは、ソファーとか、それ以外の場所でも。むぎはどこでキスしたい?」


甘やかすように、何度も何度も、軽いキスだけがゆっくり唇に落ちてくる。


もうそれだけで、目がうるんで、力が抜けていることを、渚はとっくにわかっているはずで。


「むぎの好きなところで、たくさんたくさん甘やかしてあげるよ」

私の答えも、もうとっくにわかりきってるはずなのに。


「えらんで、むぎ」


「横になって、ぎゅーして……もっと、深い、の……して、ほしい」


「っ、かわいい……上手におねだりできたね」
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