すべてが始まる夜に
「あのな、茉里、男が初めて彼女を旅行に誘うのにさ、男っていうものはかっこいいところを見せたいもんなんだ。だからこういう時は素直に甘えて、“ありがとう” って言っておけばいいんだ」
「そんなこと言われても……」
「男はな、彼女と一緒に旅行に行って、彼女が楽しんでくれたらそれで満足なんだ。だから茉里がすることは、彼氏である俺と一緒に今回の旅行を楽しむこと。わかったか?」
そんなこと言われなくても楽しいに決まってるし、きっと楽しんじゃうだろうし、今だって明日からのことを考えるだけでドキドキしている。
だから、私がすることは一緒に今回の旅行を楽しむことだと言われても、申し訳なくて仕方がない。
部長が喜んでくれることって何なんだろう?
私も何かお返しができたらいいのにな。
そんなことを考えていると、「茉里、お待たせ」と部長が戻ってきた。
ダウンコートの左右のポケットに温かいお茶を2つ入れて、私からスーツケースを受け取る。
そのまま2人で新幹線に乗り込み、チケットに書かれてある番号の2人掛けの席に座った。
部長とこうして旅をするのは、福岡の出張の時以来だ。
あの時は仕事だったけれど、今回は完全にプライベートの旅だ。出張のときとは違う緊張感というかドキドキ感がさっきから治まらない。
「茉里、はいこれ、ほうじ茶」
温かいペットボトルが手渡され、そのペットボトルを両手で挟み込む。外の寒さで冷たくなっていた手がじんわりと温かくなってきた。
私はひと口飲むと、簡易テーブルの上に置かれた部長のお茶の横に、自分のお茶を並べて置いた。
「そんなこと言われても……」
「男はな、彼女と一緒に旅行に行って、彼女が楽しんでくれたらそれで満足なんだ。だから茉里がすることは、彼氏である俺と一緒に今回の旅行を楽しむこと。わかったか?」
そんなこと言われなくても楽しいに決まってるし、きっと楽しんじゃうだろうし、今だって明日からのことを考えるだけでドキドキしている。
だから、私がすることは一緒に今回の旅行を楽しむことだと言われても、申し訳なくて仕方がない。
部長が喜んでくれることって何なんだろう?
私も何かお返しができたらいいのにな。
そんなことを考えていると、「茉里、お待たせ」と部長が戻ってきた。
ダウンコートの左右のポケットに温かいお茶を2つ入れて、私からスーツケースを受け取る。
そのまま2人で新幹線に乗り込み、チケットに書かれてある番号の2人掛けの席に座った。
部長とこうして旅をするのは、福岡の出張の時以来だ。
あの時は仕事だったけれど、今回は完全にプライベートの旅だ。出張のときとは違う緊張感というかドキドキ感がさっきから治まらない。
「茉里、はいこれ、ほうじ茶」
温かいペットボトルが手渡され、そのペットボトルを両手で挟み込む。外の寒さで冷たくなっていた手がじんわりと温かくなってきた。
私はひと口飲むと、簡易テーブルの上に置かれた部長のお茶の横に、自分のお茶を並べて置いた。