すべてが始まる夜に
「あっ、落ち葉でハートが作ってある!」

「これは縁結びの神社だからハートの形にしてるんじゃないか?」

「すごいね。ねぇ、私も写真撮っていい?」

鞄からスマホを取り出して、フレームの中に落ち葉のハートが入るように写真を撮る。
これだけで縁結びのパワーをもらえたみたいだ。

「茉里、この本殿の向こうにパワースポットと言われる天然記念物の大楠があるみたいだ。行ってみよっか」

再び部長に手を繫がれて大楠へと向かって歩いて行く。
最初はこうして手を繋いで歩くのが恥ずかしくてドキドキしていたけど、それが今は嬉しくてドキドキするようになっている。

もし彼氏ができるなら、部長みたいな人だったらいいのにな……。
そんなことをふと考えてしまう。

わからないことは何でも教えてくれて、いつも優しい笑顔で包んでくれて、レッスンまでしてくれて。
経験させてくれたのもそうだけど、今日みたいに旅行にまで連れて来てくれて、男の人と過ごすクリスマスイブまで体験させてくれて、私の “初めて” に全部付き合ってくれて。

部長みたいな人、どこかにいるのかな……。
部長が彼氏だったらいいのにな……。

私は部長のことを好きになってしまったのだろうか?
自分の気持ちがよくわからない。
いつも尊敬しているし、すごく信頼していているからそう思ってしまうのか?
こんな風に恋人同士みたいに過ごしているからそう思ってしまったのか?
それとも、好きになったからそう思うのか?

答えが出ないまま考えていると、斜め上から部長の声が聞こえてきた。
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