すべてが始まる夜に
「茉里、お前が俺に火をつけたんだからな。責任取るんだぞ」

「ね、ねぇ悠くん……、もしかして、またする、の?」

また(・・)じゃない、新たに(・・・)だ」

「それって一緒のこと……」

「一緒じゃないよ。目の前にベッドがあって、茉里が俺のことを好きだと言って、俺も茉里が好きだとくれば、やることはひとつだろ? 新たに(・・・)抱きたくなるのは当然のことだ」

なんかもっともらしいことを言って、納得させられているような気もするけれど、昨日の夜もして、さっきもして、これからしたら、3回もすることになってしまう。

「悠くん、3回もすることになっちゃうよ。ほんとにするの?」

「ああ、するよ。茉里は嫌なのか?」

「嫌じゃなくて……。レッスンのときはいつも1回だったから……」

「それは当たり前だろ。茉里は初めてだし、怖がっているし、なのに何回もしてたら、茉里が俺のことを嫌いになったら困るじゃないか。俺がどれだけ茉里に好きになってもらおうと努力していたか知らないだろ?」

少し拗ねているような表情を向ける部長に、えっ──? と目を見開いて見つめ返す。

「だよな。その顔はやっぱりそうだよな。いいか、茉里。普通男はな、好きな女にしかこんなことしないんだ。いくらレッスンだからといって、恋人同士のふりして毎週セックスしたり、一緒に寝たり、飯食ったりしないぞ。こんな風に旅行にも行かない。全部茉里のことが好きだから、茉里と一緒に過ごしたかったからしていたことだ」

昨日自分の気持ちに気づくまではずっとレッスンだと思っていたから、部長がそんな風に思ってくれてたなんて全然知らなかった。初めて聞く部長の気持ちに、嬉しさが込み上げてくる。

部長は私の隣に横たわると、大きな腕で私を包み込んだ。
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