愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜
「わっ、わたしも、嬉しいです…っ」
柄にもなく、未だに胸のドキドキがおさまらずにいる。
心臓の音、ケータイ越しに聞こえてしまっていないか不安になる程だ。
これはもう恋ではないか。
そう思えば更に胸が高鳴って。
恋に恋するような年齢は過ぎたと言うのに、だ。
「め、迷惑では、なかったですか?急に、こんな風に電話…して、」
『あははっ、何言ってんの。番号渡したの僕だよ?さっきも言ったけど、こうして電話してきてくれて嬉しい。本当だよ』
心臓の辺りがきゅうぅとなる。
どうやらわたしの恋は重症らしい。
彼は、もうわたしにとっての全てと言い切れてしまう程になってしまった。
こんな、たった数回の会話で。
このわたしが。
完全に、溺れた。
でも、どうしても確かめなければいけない事がある。
「あの…、大丈夫ですか?こんな時間に電話したりしてて…。か、彼女さん、とか…」
『彼女なんていないよ。彼女が居たら他の女の子に番号渡したりするわけないデショ』
…ヨシッ!
彼に見られる事はないからと、口元をニヤニヤと歪ませながら渾身のガッツポーズを決めた。