愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜
「適当に座って待ってて」
そう言うとユキはキッチンに向かった。
適当に。と言われても…
少し迷ったけれど、大きなテレビの前に敷かれたラグにペタンと力なく座った。
視界に入るだけの部分を見ても、やっぱりこの家は新しい。
親が建てた家なら解るけど、ユキはハッキリと自分に家族はいないと言ったし、実際この家にユキ以外の人が住んでいる気配は感じられなかった。
ユキ自身が建てた。…とは、申し訳ないけれど考えにくい。
あの喫茶店で正社員として働いていたとしても、わたしと年齢がそう変わらないぐらいでローンがきちんと組めるなんて…
…ワンチャン、宝くじが大当たりしたとか?それだったら一括購入って言う手も、
「なに難しい顔してるの?」
「わぁっ!!!」
いきなりユキの整った顔がわたしの目の前に来て、叫び声を上げながら後ずさる。
「びびびびびビックリした…ぁ!!」
「ごめんね。でも、何度呼んでも反応がなかったから」
しゅん…と申し訳なさそうな表情で謝られて、どうやってこの家を建てたのか?と考えてたなんて言えるはずもなく、こちらも申し訳ない気持ちになって「ごめん」と謝るとユキはキョトンとした後で
「なんでランまで謝るのーっ」て微笑った。
…笑顔は、天使のようだなぁ。