愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜

そんな元彼の後ろ姿を目を細めて見やった後、
大袈裟なほど大きなため息を吐いてガムシロたっぷりのアイスティーでせめてもと喉を潤した。

…代わりは、いくらでも居るのよ。

スマホを取り出すと、早速次の彼氏候補の男と連絡を取り、すぐさま会う約束をした。

喉の次は、心と身体を潤さなきゃね。

わたしの良い所は切り替えの早さ。よね!

残りのアイスティーを一気に飲み干し、伝票を手に取る。

元彼の分まで支払わねばならないことが少々気に食わないが、まぁ良しとしよう。

会計待ちしていると、レジに入って来たのは自分とそう年齢が違わないであろう長身の男性。

あまりマジマジと見るのは失礼なので、パッと下を向き、

「980円になります」

…イケボかよ。

優しくスゥッと心に染み込んでゆくような心地良さをその声に感じながら、お財布から千円札を取り出し、おつりとレシートを受け取ろうとイケボのお兄さんの手元をじーっと見ていると、

「20円のお返しと、こちらレシートになります」

それをパパッとお財布に仕舞おうとして、気付いた。

…レシートの裏に、何か書いてある…?

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