愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜

ーーッ、プップップッ

プルルルルッ、プルルルルッ、

コールの音が1回2回と鳴るたびにケータイを押し当てている右耳の鼓膜が振動して目眩を起こしそうになる。

それほどまでに緊張し、興奮していた。

3回4回と鳴らすも繋がらず、だんだん不安を覚えてそのまま切ってしまいたくなる。

7回目のコール音を聞き終わり、すっかり落胆したわたしは、汗ばんだ右耳からケータイをそっと離し、切ろうとした。

その時。

『ーーー、もしもし』

昼間、あの喫茶店で聞いたあの声がーー。

「っっ」

慌ててケータイを右耳に押し当て直して、言葉を発しようとしたのに、何故だか言葉が喉に突っかかって出てこない。

『もしもし?』

「間違い電話かな」そう呟いた声が遠退いていくのを感じたわたしは咄嗟に、

「っ、わたしです!!!」

ケータイ越しに、叫んでしまった…。
< 7 / 27 >

この作品をシェア

pagetop