愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜

『…え?』

明らかに戸惑っている、イケボさん。

やってしまった!と、相手に見られる事はないとはいえ羞恥心で真っ赤になって固まるわたし。

知らない番号からかかってきて、第一声が「わたしです!」だなんて言われても分かるはずなんてないのに…っ。

「あのっ…!違うんですっ、わたし…っ」

軽くパニックなわたしは何て言ったらイケボに伝わるのか何もわからず、泣きそうになって

「ごっ、ごめんなさ…っ」

今度こそ通話を切ろうとした。すると、遠くで『あっ、』と声が上がり、

『もしかして、今日喫茶店で番号渡したーー』

覚えててくれた!!

「はいっ!」

先程の羞恥心をもう忘れて弾んだ声で応えれば。

『ハハッ、良かった元気そうで』

優しさが心地良い声に乗って伝わってきて嬉しくなる。

「はい。その…、お店では、恥ずかしいところをお見せしてしまって…」

『そんな事ない。ーーそれよりも嬉しいな。こうして電話かけてきてくれて』

本当に嬉しそうな声音だ。






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