ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
白衣を着たドクターが私を見下ろしている。彼の身長はおよそ百八十センチ。すらりとした体躯に、小さな顔がのっている。左右対称の目はきれいな二重。意志の強そうな厚めの唇が印象的だ。
「し、進藤先生」
その人は、循環器外科医の進藤ドクターだった。まだ若いのに、日本有数の腕前を誇る天才外科医だと言われている。
担当の科の先生なので、当然何度も顔を見たことがあるし話したこともある。
でも、こんなに近い距離にいることは初めてだった。
歳は三十になったところで、結婚はしていない。病棟看護師には不愛想だと言われているけど、患者さんからの評判はいい。
いつもちょっと怖いと思っていたけど、今日は一層機嫌が悪いようだ。纏うオーラが黒くて重い。
進藤先生は自分でカートを押し、お目あての病室に向かう。それを追いかける私の後ろから原研修医がやって来て、一瞬で追い抜かされる。というか、押しのけられた。
「わっ」
転びそうになり、ナースステーションのカウンターによりかかった。私の声に驚いたのか、進藤先生が振り向くと、原研修医がキッと私をにらんで言った。
「空気読めよ。狭いんだから」