ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
処置が終わって手を洗いふうと息を吐くと、進藤先生が横を通っていった。ナースステーションから出ていく彼を、早足で追う。
「先生、さっきはありがとうございました!」
体が大きいせいか、私の声はよく響く。進藤先生は振り向き、しっと人差し指を唇の前に出した。
患者さんは静かに休みたいのだから、大声を出すなという意味だろう。
「なにが?」
口を押さえた私に、進藤先生が聞いた。
「うれしかったです。看護師も看護補助者も、先生が考えてくれていることを知ったら、みんな喜びます」
少し近づき、声のボリュームを落とした。
「みんなに知らせておきますね」
原研修医ほどひどい人はそうそういないけど、ほとんどのドクターは看護師を見下していると思っていた。実際、見下されていると感じることが多々ある。
だけど、進藤先生は私たち看護師を、なくてはならない存在だと言ってくれた。
「知らせなくていい」
眉間に皺を寄せ、進藤先生は白衣を翻して行ってしまった。すらりとした体躯が、いつもより輝いて見えた。