【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
 あそこには大勢の社員がいて、さらに子会社にも社員がいて家族がいる。
 俺が背負うのは、それらすべてだ。
 涙が消えた。
 父の代わりに俺が社長にならなくてはいけない。
 親戚の中で能力のある奴がいれば別だ。
 残念ながら、宮ノ入グループを任せられる親族はいない。
 祖父もそれをわかっている。

 ――そうか……。祖父が兄の存在を教えたのは、俺のためか。

 八木沢直真――両親を亡くした俺の支えとなるだけの能力を持っていると、祖父が判断した。

「俺の兄……か」

 ハンカチを握りしめた。
 今の俺には兄が必要だと、祖父が判断した。
 一人ではできないこともある。
 ハンカチを学生服のポケットにしまい、俺は迎えに行くことを決めた。
 ――異母兄の八木沢直真を。

「おい、繁松。そこにいるか」
「こちらに控えております」

 一人でマンションを出てきたが、祖父が俺にSPをつけてるのは知っていた。
 兄の存在を打ち明けた祖父が、俺の行動を見張るため、信頼できるSPを寄越しているだろうと思っていた。
 思った通り、俺を監視していたようだ。

「お会いするのでしょう」
< 209 / 216 >

この作品をシェア

pagetop