怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~


「はい。私、今とてもうれしいです」


 私が悠正さんのマンションから見える夜景にこっそりと見惚れていたことをどうやら彼は気が付いていたらしい。それで私をここに連れてきてくれた。

 こんなに素敵な夜景を見られたこともうれしいけれど、それ以上に悠正さんのその気持ちがうれしかった。


「ありがとうございます、悠正さん」


 私が今こうして夜景を見られるのは彼と結婚をしたから。もしもまだ門限に縛られる生活をしていたら、こんなに素晴らしい景色を見ることはできなかった。

 そう思うと、今日こうしてここに来られてよかったと心から思う。

 たかが夜景を見ているだけのことだけど、私にとってはようやく手に入れることができた自由でもあるのだ。

 悠正さんと結婚したことで母の束縛から解放された私は、今ではもうなんでも自由に行動している。

 この前は仕事終わりに初めてレイトショーで映画を観たし、同僚ふたりと遅い時間までディナーも楽しんだ。それに、高校の同級会にも参加した。こういうことがなんの気兼ねもなくできるようになったことがうれしい。

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