怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
『もしかして今晩というのが急だったか。それじゃあ小野坂さんの都合のつく日で構わない。仕事が終わったあと時間を取れる日はある?』
『すみません。どの日もダメなんです』
言いづらそうに告げる優月に、もしかしてこの反応は俺と食事をすること自体に拒絶をしているのではないだろうかと気が付く。そうだとしたらさすがの俺も傷つく。
けれど、こんなことで彼女への想いが消えるわけもなく、その日以降も俺は優月を食事に誘い続けた。が、いつも撃沈。
仕事の手が空いたときなどに事務所内でする世間話には明るく答えてくれるのに、食事の誘いになると途端にばっさりと断られてしまう。
俺も少し意地になり、どんなに断れても優月を食事に誘い続けること約二年。そんな俺にとうとう彼女と食事ができる機会が訪れた。
きっかけとなったのは事務所で開かれた慰労会。俺が長期に渡る裁判を勝訴という形でおさめたことで、その祝福と労いのためのお疲れさま会が開かれた。
けれど、正直なところ俺はその会にあまり気乗りしなかった。