怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~

 見合いに、門限……。

 優月の家庭事情が気になった。彼女のことを気の毒だと思ったし、なんとかして助けてあげたいと思った。

 ――というよりも、見合いなんてさせるかよ。

 思わずチッと舌打ちが漏れる。

 そんな憤りをおさえるように、カウンターテーブルに突っ伏して眠る優月の黒髪に自身の指をゆっくりと通した。

 俺は彼女が好きだ。

 まさか自分がたったひとりの女性にここまで一途になれるとは思ってもみなかったし、予定ではもっと早く彼女を手に入れるはずだった。それが予想外に手こずっている。

 食事に誘う以外にもいろいろとアプローチをかけていたがいつも相手にしてもらえない。どうやら優月はそういったことにかなり疎いらしく、俺の好意にはこれっぽちも気付いていないようだった。

 そんな彼女が見合い、か……。

 どうにかしてそれを阻止する方法はないだろうか。そう必死に考えてみるが、それよりも今は酔い潰れて眠る優月をどうするかが問題だ。

 このままここで寝かせるわけにはいかないし、自宅に送りたくても住所を知らない。やはりここは俺の自宅に連れて帰るのがベストだろう。

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