怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
そう判断した俺はすぐにタクシーを呼ぶと、眠ったままの優月を連れて自宅マンションへと帰宅した。
到着すると寝室に向かい彼女をベッドに寝かせる。スーツの上着を脱いだ俺もベッドに浅く腰を下ろすと、ふとため息がこぼれた。
これはいったいどんな拷問だ。
好きな女性が自分のベッドで無防備に寝ているというのに手が出せない。いや、絶対に出してはいけない。
でも、かわいい寝顔を見ているとつい手が伸びてしまう。これくらいならいいよな……と、酒のせいでほんのりと火照る頬に軽く触れた。
そのまま指を上にずらしていき、優月の前髪をそっと払いのけたときだった。露わになった彼女の額に三センチほどの赤い痣のようなものを見つけた。
この傷はどうしたのだろう……。
最近できたというよりかは古傷だろうか。普段は前髪で隠れているせいで見えずに気が付かなったが、なぜこんなところに傷が?
気になりながらそこを指でなぞっていると、優月の口が微かに動いた気がした。
『お、みず……』
その声にハッとなり、触れていた彼女の額から慌てて手を離す。