怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
眠っていたはずの優月がぼんやりと目を覚ましていた。
どうやら水が飲みたいらしい。待っていてと声を掛けてから俺はキッチンへと向かう。グラスに水を注いでから再び寝室に戻った。
『お待たせ、小野坂さん。はい、水』
いつの間にか起き上がりベッドの縁に座っている優月の隣に俺も腰を下ろし、手に持っているグラスを渡した。
優月はまだ眠たそうにぼんやりとしたまま、不思議そうに俺を見つめる。
『あれ? 隠岐先生、どうしてここに?』
『どうしてって、ここ俺の家だから』
『隠岐先生の?』
そう言って首をかしげてから、優月はグラスに入った水をごくごくと喉に流し込み始めた。
とろんとした表情や喋り方からしてまだ酔いが残っているのだろう。おそらく今の状況も理解できていない気がする。
あれだけ酒を飲んだのだから喉も乾くはずだ。たっぷりと水を飲んだ優月が『ごちそうさまでした』と俺にグラスを返す。それを受け取ると、俺は静かにベッドから立ち上がった。
『小野坂さんの自宅はどこ? これからタクシー呼んで送っていくから住所を教えてくれないか』