怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~

 そこまでしても優月は俺の気持ちに少しも気付いてくれなかった。だから気長にいこうと思っていたのに、そろそろ限界かもしれない。

 優月のことが欲しくてたまらない。誰かに取られるくらいなら今ここで奪ってしまいたい――。


『小野坂さん。お見合いをしなくて済む方法がひとつだけあるんだけど、知りたい?』


 俺は優月との距離を一気に詰め、ほんのりと火照るかわいい顔を覗き込むように見つめた。

 彼女もまた俺を見つめ返して、こてんと首を傾げる。


『お見合いをしなくて済む方法?』

『ああ。――それは、今夜ここで俺のものになることだ』


 優月の耳元で囁くように告げると、彼女の細い腰に手を回し引き寄せる。


『お、隠岐先生?』


 優月の体がピクッと小さく跳ねた。恐る恐る彼女の視線が俺に向けられ、かちりと目が合う。

 ほんのりと火照る頬。潤んだ瞳。ぷっくりとした唇。――ずっと触れてみたかった。


『俺が、きみを好きだと言ったらどうする?』


 あと少しで唇が触れ合うぎりぎりの距離で俺は彼女に問い掛けた。

 優月の目が大きく見開き、一瞬だけ俺から視線を逸らす。そのまま小さな声で彼女が告げる。

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