怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「ふーん。そうなんだ」
私の説明を聞き終えた瑠奈がランチのオムライスをパクリと頬張る。もぐもぐと咀嚼してから飲み込んで再び口を開いた。
「でも優月、本当にそんな結婚してよかったの? おばさんの優月への過保護っぷりは私も子供の頃から気にはなっていたけど、だからといってこんな結婚して後悔してない?」
「後悔は……うん、してない」
母と離れられてよかったと思う。
それにもしもあの日、悠正さんが結婚の提案をしてくれなかったら私は今頃、母の決めた相手と無理やり結婚をさせられて、愛のない結婚生活を送ることになっていた。
同じ愛のない結婚生活なら、相手が悠正さんの方がずっとマシだ。なにぜ彼は私にとって憧れの弁護士なのだから、その人の妻になれたことは純粋にうれしく思う。
それに昨日、悠正さんは私に言ってくれた。
結婚したからには優月とちゃんと本物の夫婦になりたいのだ、と……。
「でも、そういう結婚もアリなのかもしれないよね」
不意にそう呟いた瑠奈がテーブルに頬杖をつき、重たいため息をこぼす。
「愛はないけど、お互いにメリットがあるから結婚する。その方がなんだか気が楽そう。初めから愛なんてなければ、結婚生活の途中で愛がどこかに消えたりすることもないんだもんね」