怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~


「……瑠奈。もしかして拓海さんとまたなにかあった?」


 突然、表情に暗い影がさした瑠奈に問い掛けると、彼女は小さくうなずいた。


「実は、離婚することになった」

「えっ」


 とうとうそうなってしまったらしい。

 瑠奈は、テーブルに視線を落としたままゆっくりと落ち着いた口調で言葉を続ける。


「拓海に不倫されて離婚してやるなんて優月の前では騒いでいたけど、本心じゃなかったんだよね。子供のためにもどうにかしてやり直せないかと思っていたのに、あいつはそうじゃなかった。不倫相手と一緒になりたいから、私とは別れたいってはっきり言われた」

「瑠奈……」


 感情を押し殺したように淡々と話す彼女がとても痛々しい。


「子供の親権は私がもらうことになったの。それで、今後の養育費とかの話をしているんだけど、なんだかうまくはぐらかされてまとまらないんだよね。このままだと払ってもらえるかわからない。しっかりと話し合いたいけど、あんなやつの顔なんてもう見たくもないし、関わりたくもない気持ちの方が強い」


 確かにそうだろうなと思う。裏切られた末、一方的に離婚をつきつけてくるような相手の顔なんてもう見たくないだろうし、言葉だって交わしたくないはず。

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