怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
昨日の展望フロアで悠正さんは私に‟本物の夫婦になろう„と言ってくれた。私のことを好きになりたいとも言ってくれた。でも……。
たぶん鏑木さんとの会話を聞いていなかったら、悠正さんのこの言葉を純粋に受け止められていたのだと思う。
でも私は、悠正さんには忘れられない女性がいることを知っている。だから、その人のことを忘れるために私と結婚して、無理やり私のことを好きになろうとしているのではないかと思ってしまう。
誰かの代わりに愛されるくらいなら、愛なんてない方がずっといい……。
「――そもそもこの結婚、最初からちゃんと愛があるよ」
不意に悠正さんの声が聞こえて、私はハッと意識を引き戻した。隣に視線を向けると、悠正さんもまた私のことを見つめている。
「俺が優月のことをどうしても手に入れたくて結婚を提案したって言ったらどう思う?」
「えっ」
唐突な言葉に理解が追い付かない。
それはいったいどういう意味なのだろう。
私のことを手に入れたかった? だから結婚を提案した?
「でも、この結婚はお互いのメリットのためのもので――」
「確かにそれもある。でも、それはただの理由に過ぎなくて、本当は俺が優月に見合いをしてほしくないから、確実にきみを手に入れるために仕掛けた結婚だとしたら?」